環境と成績の関係を考える



こんにちは。京都(宇治・伏見)のプロ家庭教師 内藤 睦です。
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今回は、人によって合う勉強方法とは何か、をエピソードとともに考えてみたいと思います。



とても勉強に向いた恵まれた環境で伸び悩んでいる生徒様



数年前に受けもった生徒さん。
彼は、中学受験に定評のある大きな塾に通っていましたが、
算数が一番下のクラスのため、算数を強化してほしいとのご依頼でした。


初めてお宅に伺った時、びっくりしたのは
リビングにずらりと並ぶ良書の数々でした。
さまざまな名作絵本に始まり、図鑑、子ども向け文学全集、学習マンガ……。
ずらりと並ぶシリーズ本以外に地球儀などもおいてあり、
知的好奇心を刺激する材料が盛りだくさんでした。

通われている私立小学校では、勉強の面倒をしっかり見てくれている様子です。
また、塾にもずっと通っておられて、たくさんの課題に取り組んでおられます。
毎日、登校前に塾の算数問題プリントを1ページやる習慣もありました。
知的好奇心を刺激される環境で、
様々なことを様々なプロフェッショナルから教えてもらい、
勉強の習慣化もできている、恵まれた環境でした。

しかし、それだけ十分勉強しているのに、
どうもご本人の成績は芳しくないのです。

塾のテストを見せていただくと、決して理解できていないわけではない。
ある程度難しい問題にも、チャレンジして正解している。
ですが、点が取れていないのです。

原因はケアレスミス。
算数のテストは、多くの場合が
大問1が計算問題、大問2が問題文1行の解きやすい問題です。
その辺でけっこう点数を落としています。
計算スピードはそこそこ早いのに、です。

そこを強化することがポイント、と思い
簡単な計算をしっかり合わせるために
100マス計算プリントの四則演算を1日2枚やるようにしました。
「早さよりも、正確さを大切にね。
時間は少しゆっくり目でもいいから、100点を目指そうね」と
言ってプリントを渡しました。



簡単なミスが直らない!なぜ??




そのように、彼の計算力からすると決して負荷の高い宿題は
出していないはずなのですが、次の授業時に取り組んだプリントを見ると
毎回必ず2問ほど不正解があります。

授業で再確認すると、正解はスッと出てきます。
よく間違う計算などはない様子。

彼を見ていると、次第に二つの特徴に気づきました。

どうも、問題を解く時に浮足立っているのです。
椅子にお尻をつけているのに、ちょっと宙に浮いているような感じ。
話を聞いて取り組んでいるのですが、なんだか心が100%全集中していない感じでした。

さらに、なんだか疲れているのです。
やる気がないわけではない。だけど、とても疲れているのです。

聞けば、学校の宿題、塾の宿題がとてもたくさんあるとのこと。
小学校ではタブレットで宿題がたくさん出されていて、
国語では作文もよく出ている様子。百人一首の暗記テストもあったとか。

課題や宿題が多くて疲れる。
やることがいっぱいで、好きなことをする時間が十分とれないから
そのため睡眠時間を削って好きなことをしている。
それで寝不足になり、さらに疲れてしまう。

そんな中、彼は取り組みやすい100マス計算でも
「正解率を上げる」ということよりも「とにかく早く終わらせる」ことが
最大の目的になっているようでした。


成績が上がるためには?




彼なりに一生懸命やっているはずなのにケアレスミスが直らず、
成績が上がらない。
その理由をおぼろげながら考えてみました。

彼は、おそらく小さな頃から勉強漬けでした。
私立の小学校に通っていたから、多分小学校受験のために
幼児の頃からドリルや課題をたくさんやったでしょう。
教育熱心な環境で、たくさんの知的な刺激を与えられ、学ぶ機会が与えられている。

でも、家庭も、学校も、塾も、みんな「よかれ」と思ってやっている、
知的好奇心をくすぐり、世界を広げるはずの刺激が、
彼には多すぎて、疲れてしまっていたのではないでしょうか。

本当は、課題を少なめにしてそこで正解率を上げることで
「自分にもできる!」と思えるようになってから量を増やしていく、のがいいのかな
という感じがしました。


正解はどこにあるかわからない。が…




難しいのは、それがどこかのタイミングでカチッとハマる可能性はゼロではないこと。
どこかでその刺激に見合う反応、対応をし始める可能性はあるにはあるのです。

その辺は正直、お子さまの性格や意欲、周りの環境など
本当にいろんな要素が絡まっているので何とも言えません。
でも、1つには、肩の荷を少し下ろして軽くして、
余裕を持てるようにしてみることも一手ではないのかなと思います。

周囲も同じように課題をたくさんこなしている!という中で
そういう選択をするのは勇気がいるかもしれませんが…。


彼は結果的には志望校に合格されました。
本当に良かったと思います。

彼が合格後、しばらくの間だけでも、少し課題が少ない環境で
本当に知的なことを楽しむことができる機会を持ってほしい、
と思いました。



いろんなお子さまのいろんなケースがある。
その中で「うちの子、どうすればいいの?どんなやり方をしていくのがいいの?」
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